フランス旅行余話(1)

温故知新

 古い話ですが1986年8月末にフランスノルマンディー地方へ出かけて行った音楽会の10日間の旅行でのワインを中心とした食べ物、音楽、風物の話をしましょう。

 まず、パリに朝7時に到着し、宿に荷物を置き一服し練習した後、近くのビストロで遅い昼食となり、サンスー(サンセール)のお手軽な赤ワイン(日本では白ワインが有名)をマスターに勧められるまま飲みましたがこれがまたおいしかった。

  やや辛口でその割りにヘビーではなく肉料理には良好で、最初においしいワインを飲むと旅の最後まで好印象を持ってワインが飲めますね。

  写真-1は、そのときの赤ワインのラベルですが、今まで写真帳にはマスターのサインの裏の方をだし、表はよく見ていなかったのですが、最近あらためて取り出してよく見るとワインの良好な1985年でした。これで早出しのワインでも非常に美味しいことが納得できた次第です。

8月末でも気温15℃位の凱旋門に近いシャンゼリゼ通りで酔った勢いで、早速おぼえたてのフランス語で買い物をして何とか通じることが分り、3ヶ月特訓でも必死になれば何とか会話できることを体験。写真-2は凱旋門の上から眺めたシャンゼリゼ通りで、空はフランス独特の曇り具合です。

  目的地はパリから鉄道で北へ約2時間のノルマンディー地方の村ですが、途中タペストリーで有名な古都バイユーに立ち寄りシードル(写真−3)とクレープの昼食をいただきました。 町の中心にある3世紀以上かけて作られたロマネスク、ゴシック様式のノートルダム教会(写真-4)を訪ねこのようなところで演奏ができないものかしばし休息。

写真-1 サンスー赤ワイン1985年
写真-2 凱旋門からの眺望
写真-3バイユーのシードル

 美術館では細かいピンが精密に描写されたベルギー刺繍製作時の大きな絵画やバイユーブルーの陶磁器なども見学でき、また日本の伊万里焼の影響のある磁器も見られました。 思い出すと古い彫刻のある木造建築(写真-5)もあり距離も文化もかなりベルギーに近いネイションではないかと今ごろ関心しきりです。(その当時ベルギーは古楽の関係しか興味が無かったので。)

もちろん11世紀頃のイギリスとノルマンディーのハロルド王の物語が刺繍され、またハーレーコメットが描かれていることで有名な50p幅、長さ60mのタペストリーのある歴史博物館も見学しました。 ここでは床が微妙に傾斜しており、シードルのわずかな酔いとともに船酔いのような状態になりますのでこれから行かれる方注意した方がいいですよ。

写真-4 バイユーの教会
写真-5 彫刻のある古い建築
写真-6 1940年代カルバドス

 そして夜はベルギーからはるばる参加していただいたビオラ・ダ・ガンバ奏者のS氏が1940年代後半のカルバドス(写真−6)をバイユー市内で見つけられたので、海鮮料理を食べたあとに早速、一部屋に集合し宴会となり香りの良い上質のカルバドスが一口で体にまわりました。

 >>(2)へ続く